6月16日、田村憲久厚生労働大臣に、介助犬・聴導犬の実働数を増やす為の取り組みについて、陳情させていただきました。今回は、補助犬の普及にご尽力いただいている岩屋毅衆議院議員のお力添えにより実現しました。
身体障害者補助犬法が施行されて12年が経ちました。施行を機に介助犬・聴導犬が日本で本格的に育成され始めましたが、現在実働しているのは、わずか介助犬72頭、聴導犬56頭にすぎません。育成頭数が伸び悩んでいる原因の第一に、育成団体の経済的基盤が不安定である事があります。
障害者の方に何らかのサービスを提供すると、助成金や委託費が公的機関から事業者に支払われます。補助犬の場合も、都道府県の委託枠に入れば育成費の助成が受けられますが、頭数が限られており、特に介助犬・聴導犬の枠は極端に少ないのが現状です。当協会では、昨年度、10名の耳の不自由な方から聴導犬の申込みを頂きましたが、都道府県の委託を受けられたのは3名のみでした。対象外となった7名の方に聴導犬を貸与するために、週3回の街頭募金活動で育成費を賄っている状況です。
当協会に限らず育成団体の多くが、財政難のため職員の確保や養成も思うにまかせません。
補助犬は、訓練し卒業すればそれで終わりではなく、定期的・経済的なフォローアップが必要です。ですから、1頭でも卒業させた育成団体は、その補助犬が亡くなるまで責任があります。育成団体が存続し、サービスを提供し続けることが、ユーザーにとっても補助犬にとっても重要なことなのです。
12年間、この使命感を持って活動してきた当協会は、認定法人として多くの育成団体に関わってきました。しかしそのほとんどの団体が、今後の見通しを立てられていません。この事業を継続させ、希望者の皆様に応えるだけの補助犬を育成するためには、助成制度の拡充をお願いするしかありません。小さな育成団体個々の自助努力だけでは、どうすることもできない状況なのです。この現状を田村大臣にお伝えし、大臣より、「補助犬制度の普及がまだ不十分なことは承知している。今後も普及に向けて努力していきたい」との言葉をいただきました。
現在実働している介助犬・聴導犬の半数以上を育成・認定している当協会は、補助犬の育成・普及促進のため、今後も様々な方面に情報発信と協力をお願いしていきたいと思います。