日本で唯一3種類(盲導犬、介助犬、聴導犬)の補助犬を育成および認定できる団体です

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イベント・キャンペーン 補助犬法20周年キャンペーン 協会のあゆみ

2022年7月
公益財団法人 日本補助犬協会

 補助犬法施行ともに歩み続け、私たち公益財団法人日本補助犬協会は、設立して20年が経ちました。

 私たちは、2002年NPO法人設立以来より、障害を持つどなたもが暮らしやすくなる社会づくりを目指すために、盲導犬以外にも、介助犬、聴導犬、といった3種の補助犬の育成と認定を同時に行うことができる日本で唯一の団体として、20年間にわたり活動をつづけてきております。
 さらに、補助犬の育成、認定以外にも、より多くの方に補助犬のことを詳しく知っていただくために、障害者施設への訪問のみならず、幼稚園・学校への補助犬介在授業、各種イベントへの企画・参画など、社会貢献や啓蒙活動を、NPO時代より積極的におこなってまいりました。

 このように取り組んできた私たち日本補助犬協会の20年のあゆみと、その活動を踏まえて目指しているビジョンについて、簡単ではございますがご紹介させていただきます。

若者の自立を支援する『あすなろ学校』

 私たちは、補助犬の育成のみならず、2008年に補助犬の育成活動(動物介在)を通じて若者の自立支援にも力を入れ、『あすなろ学校』という施設を設立しました。
 『あすなろ学校』とは、社会での自立を目指す若者とともに聴導犬の育成に力を注ぐことに主眼を置いた事業です。聴導犬の育成と同時に、多くの若者もまたここから社会へと巣立っていきました。残念ながら、協賛企業との契約満了にともない『あすなろ学校』は2012年に閉校となりましたが、その後も通所支援の若者自立支援コースとして、一部名称、内容を変更してその活動を継続していきます。2014年には、法務省が掲げた「少年院における動物(犬)介在事業の取り組み」として少年院での「補助犬授業」を実施するなど、若者の自立を支援する活動と教育に、精力的に取り組んでまいりました。
 こうした若者への支援、各地の幼稚園から小中高までの幅広い学年層に行なっている補助犬介在授業など、教育的側面からの支援活動は日本補助犬協会の特徴のひとつでもあります。

東京2020オリンピック・パラリンピックへの支援、そして幅広い活動へ

 『2020年オリンピック・パラリンピック』の開催が東京の地となることが、2015年に決定いたしました。これと同時に、日本補助犬協会は、補助犬業界で初めてアクセシビリティー協議会へ参加することとなり、業界のリーダーとして補助犬受入体制の確立に向けた活動、ガイドラインの策定に参画いたしました。
 この活動を起点に、この他にもユニバーサルデザイン2020関係省等連絡協議会「心のバリアフリー」分科会委員へ参加、さらに障害当事者も対象とした補助犬ガイド士、心のバリアフリー検定など「誰一人取り残されない社会」を目指し、その活動範囲を広げてきております。

新型コロナウィルス感染症の危機を乗り越えて

 そんななか、私たちの活動を脅かす事態が発生しました。
 2020年に世界を襲った新型コロナウィルス感染症です。
 この影響により、私たちは街頭募金活動や啓蒙・イベント活動などを自粛しなくてはならない事態となり、公益事業として非常に大きな打撃を受けました。しかし、クラウドファンディングといった非接触による手法を活用し、啓蒙活動や募金活動を積極的におこなうことで、補助犬育成事業を立て直すことに成功いたしました。
 新型コロナウィルスの影響が続いた翌年2021年も再度クラウドファンディングを活用し、当協会の中心事業である補助犬育成・認定事業が縮小となる事態を避けるべく努めております。

私たちが、さらに目指すもの

 私たちがこの20年の活動を通じて、さらに目指しているのは、まさに「誰一人取り残さない社会」を社会モデルとして築き上げることです。

補助犬ユーザーが直面している厳しい現状

 当協会介助犬ユーザーである安杖直人氏は、21年前に相手の不注意による事故が原因で脊椎を損傷し、体の2/3が動かなくなりました。それでも、安杖氏は自立しようとする強い意志によって、苦しいリハビリテーションを克服し、補助犬とパートナーを組み、東京都内で一人暮らしをするなど、いまでは名実ともに自立した生活を送っています。
 安杖氏は外食することも少なくありませんが、安心して入れる飲食店は多くないと言います。それは、補助犬を連れてお店を訪れることができない、ということ以前に、そもそも車いすが入れる店内のつくりになっていないという大きな壁、まさに“バリア”が立ちはだかっているからです。段差や階段を使わないとお店に入れなかったり、車いすが通れるスペースがなかったり、といった物理的な制約が、“バリア”のひとつとしていまだ存在していることを、この状況は物語っております。
 こうした事例は、お店だけに限ったことではありません。あらゆる施設や公共の場でも、車いすの方が利用するには厳しい環境となっている場所がまだ残されています。
 もちろん、これは車いすの方だけではありません。目の不自由な方、耳が聞こえない方も同様です。

「誰一人取り残さない社会」を目指して

 オーストラリアでは、補助犬を連れた方が、なんの違和感もなく交通機関を利用したり、飲食店で食事したり、他の店舗でも一般の人と変わらないように利用しています。これは障害の方でも不自由なく暮らせる社会として構築されているからです。
 こうした社会モデルが、まさに私たちが目指している姿であり、『心のバリアフリー』で提唱している「誰一人取り残さない社会」です。

 私たちは20年間、補助犬の育成・認定事業を中心とし、『もっと知ってほじょ犬』といったキャンペーンを毎年開催し、補助犬の認知度向上に努めてきました。しかし、先の物理的な“バリア”が残されていることと同じように、補助犬同伴による入店拒否などもいまだ見受けられるのが今の日本の現状です。
 障害者補助犬法で、補助犬の入店を認めるよう定められていても、こうした現状を知らなければ、その先へは進めません。

  • 補助犬育成・認定頭数を増やすこと
  • 幼稚園、学校への補助犬介在授業の機会を増やすこと
  • 補助犬の認知度を上げていく活動を企画し、実行していくこと

 私たちは、この20年のあいだ、この3つの事業を軸として活動してまいりました。いずれも「誰一人取り残さない社会」を社会モデルとしてつくり上げていくためです。しかし、20年を経過した現在でも、課題はまだまだ残されており、これまでの活動をより一層広げていく必要があります。

補助犬法施行20周年キャンペーンを弾みに

 新型コロナウィルス感染症の影響が長引いていることから、街頭募金をはじめとして、イベントや渉外活動の行動範囲が制限されるなど、取り巻く環境としては、今後も相変わらず厳しい状況が続いていくものと予想されます。そのような中だからこそ、補助犬法施行20周年となる今年度は、20周年キャンペーン事業を立ち上げ、さらに弾みをつけ、業界のリーダーとしてより精力的に活動していく所存です。
 実際に「誰一人取り残さない社会」モデルの実現に向けた教育・研修プランを、東京大学と共同で構築していく取り組みに着手し始めるなど、すでにその第一歩を踏み出しております。
 私たちは、これまでにも補助犬の育成に加えて『あすなろ学校』や補助犬介在授業といった教育的な側面から社会モデルをつくりあげていくこと目指して活動してきました。その蓄積した特徴ある実績をさらに深堀し、発展させ「誰一人取り残さない社会」の実現に向けて、当協会メンバー一丸となって取り組んでまいります。
 これまでと同様に、変わらないご支援を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

日本補助犬協会20年の軌跡

2002年 非営利特定法人日本補助犬協会を発会。
2002年 オーストラリア『ビクトリア盲導犬協会』との提携を調印。
2003年 ジッピー号東京都第1号介助犬として認定。
2007年 公益法人制度改革法施工に向けて評議委員会、新しい施設建設に向けて施設建設準備員会を設置。
2008年 日本サムスン株式会社と提携し『あすなろ学校』を開校、若者の自立支援とともに、聴導犬育成を強化。
2008年 特定非営利活動法人から一般財団法人となる。
2010年 盲導犬・介助犬・聴導犬の3種類の補助犬を育成・認定できる日本初の団体となる。
2010年 一般財団法人から公益財団法人となる。
2011年 東日本大震災復興支援活動を実施。3月より延べ45日支援を開始、延べ90人派遣。
2012年 財団法人JKA様の助成により、新訓練施完成。
2012年 身体障害者補助犬法10周年として、第1回『もっと知って”補助犬キャンペーン”』を開催、以後現在に至るまで毎年開催を実施。
2014年 法務省「少年院における動物(犬)介在事業の取り組み」として少年院での「補助犬授業」を実施。
2014年 『補助犬ガイド士』養成・認定講座を開始。
2015年 横浜市動物愛護センター委員として活動を始める。
2016年 2020東京オリパラ大会での補助犬受入体制確立に向けた活動を開始
2016年 ユニバーサルデザイン2020関係省等連絡協議会心のバリアフリー分科会委員としての活動を開始。
2018年 引退犬の支援を開始。
2022年 東京オリンピック、パラリンピック決定した2013年以降から共生社会の実現に向けて公的機関とともにダイバーシティを推進した活動に対し、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(橋本聖子会長)より感謝状を賜る。
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